第7回事業承継について
当社は来期、創業より110年を迎えます。
祖父が小田原で創業、父の兄である伯父が蒲原に移転、父が清水(現在は静岡市清水区)に根を下して今日に至っています。
従って、私は4代目となります。
私は、当社の永続的発展を目指す為に学習したいと思い、The Family Business Advisors Association Japan (日本ファミリービジネスアドバイザー協会)の資格認定を取得しました。
1ヶ月の学習を経て、ファミリービジネスの定義・特徴を学びましたので、以下で紹介します。
1.ファミリービジネスの定義
諸々定義はありますが、ここでは日本ファミリービジネスアドバイザー協会の定義を紹介させて頂きます。
『ある特定のファミリー(創業家)が会社の所有(株式) および経営のいずれか、または双方を実質的に支配しているか、 会社の経営方針に大きな影響力を持つなどの企業』のことをいう
出典:FBAAファミリービジネスアドバイザー資格認定プログラムテキスト©西川盛朗 2014年
2.ファミリービジネスの特徴
ファミリービジネスは、「三円モデル」という構造が特徴です。
これは、ファミリービジネスの関係者か否か?オーナー家のメンバーか否か?その会社に属しているか否か?など、どの位置にあるのかを分類するものです。
私は現在、モデル図に示すAの位置にいます。後継者はBの位置です。
この図が意味するのは、それぞれの立ち位置で利害関係や役割が異なるという点です。大体のオーナー社長はAの位置、すなわち三つの円が重なるところです。最も複雑な立ち位置に立つ事で、ビジネス・ファミリー・オーナーとしての異なるニーズを調整する事になり、そこに会社運営の難しさあります。やがて当社の後継者もAの位置に立ち、会社を維持・継続に更なる発展をさせていく事を、私は期待しています。
3.当社の事業承継を成功させる為の4つの事項について
私は事業承継には、次の4つの事柄が重要だと思います。
- Ⅰ.後継者を想定し、技術伝承などを含め、後継者教育を行い、取引先などに浸透を図る。
- Ⅱ.事業価値向上に向けた計画や、計画をいつ・どの様に後継者へ交替するのか、利害関係者の理解を得る。
- Ⅲ.後継者が登場するタイミングや環境を、しっかり今の経営者が用意する。
- Ⅳ.株式やその他の資産の移動にかかるコストを可能な限り圧縮するよう準備し、実行する。
いずれの事項も2~3年で出来るものではないので、事業承継には少なくとも10年間の計画が必要ではないかと考えています。
従って、出来るだけ早めに計画を策定すべきだと思います。
当社の場合は、既に後継者は決まっていますので、教育については、以下の内容の通りに行ってきました。
- ① 主要取引先での修業 … 営業活動の基本の習得と、人脈の構築
- ② 当社に入社後の教育
- 1 当社の顧問より、生産管理システムや物作りの考え方の勉強
- 2 コンサルタントによる、世の中の変遷と将来の事業の成り立ちの指針について教えを乞う(1ヶ年)
- 3 業界OBより“良い外注とは何か”とのレクチャ-を受ける(1ヶ年)
取引先などへの後継者の存在感の浸透や、いつ交替するかは、当社の主要社員や主力取引先へは既に打診し、理解を得ていますが、すべての利害関係者にはまだ浸透する迄には至っていません。
また、株式やその他の資産の移動については、無理のない範囲で徐々に行ってきております。
4.最後に
設立70周年(創業106年)の記念本を、約20年にわたり当社を御指導くださったコンサルタントの方に、約一ヶ年かけて書いて頂きました。
その後、ファミリービジネス専門のコンサルタントの方々で作っているファミリービジネス"事業承継"研究会が、圧縮本として電子出版を致しました。
宜しければ何かの御参考になればと思い、ご案内させていただきます。
販売書籍のご案内
「あるファミリービジネスに見る 事業継承のあり方」
岡野 浩 著
(株)ケーイーコーポレーション 総経部 監修・販売窓口
定価 1,700円(税抜)
電子出版本
ファミリービジネス事業承継研究会 編著
有限会社メディア・サーカス 発行元
アマゾンKindle 発売
定価 530円(税抜)
電子出版本をお読みになる方はQRコードをスキャンしてください
参考図書
- FBAAファミリービジネスアドバイザー資格認定プログラムテキスト ©西川盛朗 2014年
- 慶應経営論集 第27巻第1号2010年3月 退任記念論文
ファミリービジネスにおける企業のイノベーション 小林康一 - 「P.F.ドラッカー 理想企業を求めて」 エリザベス・ハース・イーダスハイム著 ダイヤモンド社刊
- KEコーポレーション社内資料~イノベーションを起こして戦略展開を!!~
- KEコーポレーションホームページ 燦々KE
- 慶應義塾大学総合政策学部学部長補佐 飯盛義徳教授 講義資料より