第12回当社の技術・技能に関すること
このコラムも早いもので第12回目になります。 今回は技術に関することにふれてみたいと思います。
1.ワンストップサービスによる生産
当社は設計から製造・検査まで自社で一貫生産が出来る体制を整えた「ワンストップ・サービス」を強みとしています。競合他社は外注に依頼することが多いと思いますが、一貫生産をすることにより、迅速な対応、膨大なデータの共有、関連する複雑な各法規の処理、技術的なフィードバックも迅速に行えることによりお客様のご要望に対し的確な提案及び柔軟な対応が出来ます。
このことにより技術力・品質・コスト・納期・ソリューション・生産財に必要な競争優位の確立につながります。
当社は多品種小ロット生産が主であります。ワンストップサービスと相まって、一つの製品の完成迄、製造工程を一人で受け持つセル生産が妥当な方式であると考えています。この方式は一人一人の作業範囲が広くなるために、高いスキルを持った多能工を育てることが大切です。
経営資源(人・モノ・資金・情報)の中で最も重要な資源は、言うまでもなく“人”であると私は思います。中小企業の経営者はその様に考えている方が多いのではないでしょうか。
従って、当社の要素技術は溶接なので技能者の養成は不可欠であります。その為、溶接の技術を磨くトレーニングルームを完備し、仕事の中で能力を向上させることだけではなく、モチベーションを高くもってもらう為に、毎年溶接技術競技会に出場する機会を設けております。長年にわたり優勝・優良賞等の結果を出しており、大変嬉しく思っております。
⒉.メンターの制度について
当社の技能者の養成は主に「新人教育」と「ベテランの技能の維持」で構成されていますが、新人教育については「メンター制度」を導入しています。当社のメンター制度は特定の後輩(メンティ)に対して知識や技能支援にとどまらず、将来に向けたキャリア形成のロールモデルを示すことでより全人格的に向き合うという使命を担う制度であります。
ベテラン社員による新人教育
基本的には“OJT”と座学です。座学の内容は生産管理・生産技術・工程管理・品質管理・図面の見方・5S・報連相・安全指導・総務との係わり等です。
OJTは「On the Job Training」ですが、時には「On the Job Learning」が必要であるのでは、と私は考えています。下記に示すようにOJLはいわゆる「学習する組織」にもつながることが多々あると思います。
次にベテラン教育ですが、担当部署の管理者が各人の技能レベルを審査し、その人の成長度合いに応じて上位段階の技能の向上にチャレンジを促します。またメンターになることも踏まえ、外部の研修会などにも参加させます。ベテランですので卓越した技能を持つことはもちろんですが、指導する能力も身につけることにより、尚一層、技能に対し理解を深め向上する事が出来ます。かつ他社の方々と交流し研鑽することで、自分の技能レベルをはかることも出来ます。
参加した技能者は自らモチベーションを高め、社員同士のコミュニケーションをも深化させ、個々のアイデンティティの確立をしていくと私は感じています。
3.生産性の向上の定義について
1.と2.では人の技能に関することを述べて来ましたが、それだけでは競争の優位性を得られるものではないと私は思います。
当社は技能の標準化・自動化を積極的に推進して来ています。将来的には人口減少に伴う労働力不足の問題は避けられません。そこで技能(伝承を含む)と設備の組み合わせによる高度化技術・高付加価値生産の実現を目指していかなければならないと私は考えています。実現させる為には生産性の向上をしていかなければなりません。
生産性とは何か? ここでは私の考える生産性の定義を述べてみたいと思います。
以上、当社の技術に関することを述べさせて頂きましたが、今後、コロナ禍の厳しい経済状況を乗り越えていく為には、技術力・技能の向上、設備の導入を考えながら、全社一丸となって邁進してまいります。